ブッダ最後の旅(大パリニッバーナ経)にあった一節です。
「アーナンダよ、ここでわたしは、清らかな超人間的な天眼をもって、千もの多くの神霊たちがパータリ村に敷地を構えているのを見た。優勢な神霊たちが敷地を構えようとする地方には、優勢な国王または大臣が住居を建築しようと心を傾ける。中位の神霊たちが敷地を構えようとする地方には、中位の国王または大臣が住居を建築しようと心を傾ける。低位の神霊たちが敷地を構えようとする地方には、劣勢の国王または大臣が住居を建築しようと心を傾ける。」
その土地に住む人間は、そこに住まわれる神霊と相関関係にあるという記載がとても興味深く思います。
「アーナンダよ、パータリプッタが立派な場所である限り、商業の中心地である限り、ここは首都であり、物資の集散地であるであろう。しかし、パータリプッタには三種の災難があるであろう。すなわち火と水と内部からの分裂とによるものである。」
パータリプトラは、マウリヤ王朝の首都となり、その衰亡は八世紀の半ばに洪水で亡んだことが、考古学的発掘で確認されているようです。
ブッダがパータリ村を訪れたときは、マガタの大臣であるスニーダとヴァッサカーラが、城郭を建設しているときでした。ブッダは、その大臣から、供養のおもてなしを受けて、次のような詩句を唱えました。
聖賢の生まれなる人が
住居をかまえる地方において、
そこで、有徳にして自ら制せる清浄行者たちを供養したならば、
そこにいる神霊たちはかれらに施与の功徳をふり向けるであろう。
かれら神霊は供養されたならば、またかれを供養し、
崇敬されたならば、またかれを崇敬する。
かくて、かれを愛護すること、
あたかも母がわが子を愛護するようなものである。
神霊の冥々の加護を受けている人は、つねに幸運を見る。
ブッダは、ここで、都市の建設には、都市をまもる神霊冥助が必要であるということを説かれたようです。根本仏教でも、神霊冥助の教えがあったことを確認できます。