”ひきよせて むすべば柴の 庵にて
解くれば元の 野原なりけり”
ここに庵があります。この庵は、山野の雑木が集められ、つなぎ合わされたものです。しかし、解体すれば、元の野原になるでしょう。「庵」は「有る」のでもなく、「無い」わけでもなく、「空」だということを示す歌です。
「庵」を「現在の苦悩」に当てはめますと、その苦悩も空だと悟って、そこに救いを見出すことができます。現在、苦しんでいることも、さまざまな原因や条件がつなぎあわさって現れているにすぎません。
ひきよせてむすんできた様々な原因や条件をほどいていけば、今、苦しんでいることから自ずと解決への道が開かれるでしょう。
「空」を悟るというのは、ただ物事の因縁を知るだけでなく、そこから解脱するために何をなすべきかを知り、実行していくことだと思います。