運がよくなる言葉の力

思いやりと、心配りのある言葉。それが良い運をつくる。

 密教では、三密ということを言いますね。

 身、口、意の三密。

 体の秘密、言葉の秘密、心の秘密。

 秘密というのは、内緒にするという秘密じゃないんです。理屈ではわからない秘密の力という意味です。秘密神通の力と、こう言う。体、言葉、心、これがみんな秘密神通の力を持つ。

 だから真言読誦の功徳は、口密(くみつ)なんです。語密(ごみつ)ともいう。言葉に秘密神通の力がある。口に秘密神通の力がある。ご真言を唱えると、どうして運が良くなるのか。それは理屈じゃないんです。理屈ではない、不思議な力で運が良くなるんです。ですから、密教をやっていると言葉の力、口の力が非常に強くなる。

 ところが、何万遍、何十万遍、唱えても運が良くならない人がいる。見ていると、あたりまえだと思う。それは真言読誦の功徳を消してしまうようなことを、同じ口で言っているんです。口で、言葉で、運を悪くする原因をつくっている。ご真言を唱え得た運をよくするもとの力を、消してしまっているんです。

 それはどういうことかというと、人を傷つけるようなことを言う。人の気持ちを傷つけるような言葉や、人の人生をダメにするような悪い言葉を吐く。つまり不徳を積むわけです。ですから、いくら一方でご真言を唱えて功徳を積んでも、それは功徳にならない。言った端から真言読誦の功徳を消してしまっている。そんなことを口にしていると、真言をいくら唱えても功徳にならない。

 密教の修行者は、真言を唱えますから、同じ言葉でも力が出てくる。良いほうには人を説得する力が出て、悪いほうに出ると、人をうんと傷つける力を持つようになる。気をつけなきゃいかんです。

 人間というものは思いやりの心がなきゃいかん。心配りがなきゃいかん。こういうことを言ったならば、この人は喜ぶか、傷つくか、そのくらいのことは、考えてみるまでもなく一瞬のうちにわかるはずです。どうせ言葉を吐くんだったら、相手の励ましになる言葉、喜びとなる言葉を言うべきです。三密の力があるのだから、言葉の力が強くなっているのだから、普通の人が言うよりも、励みになるはずです。

 ご真言を読誦すれば、絶対、運がよくなるんですから、せっかくいただいた運を悪くしないようにしてください。同じものを言うんだったら、相手が喜ぶような言葉、相手の励ましになるような言葉を考えて出す。考えつかなかったら黙っていればいい。余計なことは言わない。

 もっとも、言葉を出すのは、心が元ですから、心を改めることですね。

 『さあ、やるぞ。必ず勝つ⑧』より

 有言実行、自戒を込めて、書き写しました。

 私のブログで発信する言葉は、自分自身を励ますと同時に、読まれる方々にも良い運気がいただけるように、祈りを込めて書こうと思いました。